本書は「話せるのに書けない!」を解消してくれる。それは“話し言葉”と“書き言葉” の違いを知り、その距離を縮めることにあります。
と言うのも「話すこと」と「書くこと」は、まったく別の行為だからです。どうすれば自分の気持ちを「言葉だけ」で伝えられるのか。
著者がフリーライターとして蓄積してきた「話し言葉から書き言葉へ」のノウハウを、余すところなく、そして分かりやすく解説してくれます。
本記事では、『20歳の自分に受けさせたい文章講義』を読んだ感想、重要だと感じたポイントについて紹介します。
本書を読めば“書く技術”が身につき、ものの見方が変わり、物事の考え方も変わりますよ。
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』の概要

さいしょに、『20歳の自分に受けさせたい文章講義』の著者・古賀史健さんのプロフィールを簡単に紹介します。
1973年福岡県生まれ。バドンズ代表。
かねて映画監督を夢見るも、大学の卒業制作(自主制作映画)で集団作業におけるキャプテンシーの致命的欠如を痛感し、挫折。ひとりで創作可能な文章の道を選ぶ。
出版社勤務を経て24歳でフリーに。30歳からは書籍のライティングを専門とする。以来、「ライターとは翻訳者である」「文章はリズムで決まる」を信念に、ビジネス書や教養書を中心に現在まで約100冊を担当。
シリーズ世界累計500万部を突破した「嫌われる勇気」をはじめ、多数のヒット作を手掛ける。2015年に株式会社バトンズを設立、現在に至る。本書は単著デビュー作となる。
引用:20歳の自分に受けさせたい文章講義
“自分の思い”と“書き上げた文章”との間に、途方もないギャップを感じたことはありませんか?
なぜそうなってしまうのかと言うと、書こうとするから、書けないのです。
私たちの頭の中には、たくさんの“思い”が駆け巡っています。それは言葉にもならない不鮮明な映像だったり、気配や予感のようなもの。
このようなぼんやりとした“感じ”や“思い”のことを「ぐるぐる」と呼んでいます。
多くの人が文章を書くときに引っかかってしまうのは、この「ぐるぐる」のせいです。
文章として正しくアウトプットするには、書くことをやめて、“翻訳”する。頭の中の「ぐるぐる」を、伝わる言葉に“翻訳”したものが文章となります。
「書こうとするな、翻訳せよ」という原則が、本書の土台となる一貫したメッセージです。
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』ってどんな本?(要約)

『20歳の自分に受けさせたい文章講義』は全4章から構成されています。
- 第1章:文章は「リズム」で決まる
- 第2章:構成は「眼」で考える
- 第3章:読者の「椅子」に座る
- 第4章:原稿に「ハサミ」を入れる
重要だと思った部分について、カンタンに紹介していきます。
文章は「リズム」で決まる
「読者は文章を“眼”で読んでいる」ため、「視覚的リズム」を考えなければいけません。
「視覚的リズム」とは、文字や句読点が並んだときの、見た目の気持ち良さです。
本屋さんで本を適当に開いた瞬間、ブログ記事を見た瞬間、読者は一瞬で「なんか読みやすそう」と直感的に判断している。
一方で「なんか読みづらそう」と判断されたら、本は棚に戻され、ブログはブラウザバックされてしまいます。
これを避けるために必要なのが「視覚的リズム」で、以下の3つによって生まれます。
- 句読点の打ち方
- 改行のタイミング
- 漢字とひらがなのバランス
視覚的リズムを損なうもの、それは圧迫感です。スカスカでもいけないし、文字を詰め込みすぎてもいけません。
そこで句読点によって「文字間=縦」の圧迫感を解消し、改行では「行間=横」の圧迫感を解消する。そして漢字とひらがなのバランスを整えることで「字面そのもの」が持つ圧迫感を解消します。
これら3つを意識的に使いこなせば、視覚的リズムの良い文章を書くことができます。
今まで気にしたことがなかったけれど、上手な文章には①~③が使われている。ブログにもすぐに使えるテクニックなので、実践していきたい。
構成は「眼」で考える
構成とは、起承転結や序破急、あるいは序論・本論・結論などです。
そして文章の面白さを決めているのは、構成であり論理展開です。
同じ素材であっても、論の進め方、料理の仕方によって文章はまったく違うものに姿を変えます。
たとえば、新作映画の公開が近づくと記者はインタビューして原稿を書くが、素材(出演者)や語られる内容は同じでも、出来上がる原稿は書き手によってまるで違う。
つぎに、文章の構成として広く使われているのが「序論・本論・結論」の3部構成です。
具体的にどう書くのかというと、映画やドラマなどの映像表現を参考にすることをおすすめしている。
- 導入ー客観のカメラ(遠景)
- 本編ー主観のカメラ(近景)
- 結末ー客観のカメラ(遠景)
このように視点を変えることで観客・視聴者の理解を促しています。
文章を書く人も、文章における“カメラ=眼”の存在を意識すべきだと言います。
- 序論ー客観のカメラ(遠景)
- 本論ー主観のカメラ(近景)
- 結論ー客観のカメラ(遠景)
①では客観的な状況を説明し、②では自分の意見や仮説を述べ、さいごに③では再び客観的な視点で論をまとめる。
このように文書を書くときにも常にカメラワークを意識しましょう。カメラを意識することで、文書と文章のあるべき順番も理解しやすくなり、説得力も増します。
他にも、読者を惹きつける書き方や、論理展開について詳しく紹介されています。
読者の「椅子」に座る
読者をイメージしながら文章を書いていますか?
文章を書く上で必要なのは、隣に立つのではなく、読者と同じ椅子に「座ること」です。
わたしたちが本当の意味で、その「椅子」に座れる読者は2人しかいません。
- 10年前の自分
- 特定の“あの人”
①では、過去の「あのとき」の自分に向けて書く。10年前なら、その椅子に座り自分に語りかけるようにして書けば良い。
「伝えたい!」という思いがあるため、技術的に多少の難があっても、読み手に届く文章になります。
②では多数派に向けて書くよりも少数派に向けて、専門的で深い内容を書いたほうが、結果的に多くの人に伝わるということ。
ぼんやりイメージするよりも極端に想定した方が、言葉のベクトルがはっきりして、「その他」にも届きやすくなります。
ラブソングをイメージするとわかりやすい。情景描写や年齢設定、心象描写が細かく設定されていると、感情移入しやすいです。
文章で何かを伝えたい場合、これらの2つを意識して書いてみましょう。
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』を無料で読む方法
さいごに、『20歳の自分に受けさせたい文章講義』を無料で読む方法を紹介します。
それはAudible(オーディブル)という、Amazonが提供するオーディオブックサービスを利用する方法です。

プロのナレーターや声優が朗読した本をアプリで聴けて、音楽を聴くように読書を楽しめます。
そんなAudible最大のメリットは、作業しながらでも読書ができる”ながら聴き”にあります。
忙しい人でも、移動中や休憩中などのスキマ時間にインプットできますよ。
Audibleでは、30日間の無料キャンペーンを実施中なので、ぜひチェックしてみてください。

『20歳の自分に受けさせたい文章講義』の感想まとめ
今回は、『20歳の自分に受けさせたい文章講義』を読んだ感想、参考になったポイントについてまとめました。
いい文章とは、読者の心を動かし、その行動までも動かすような文章です。
そんな文書を書くためにも、頭の中の「ぐるぐる」をうまく翻訳して、リズムの良い論理展開をブログに活かしていきたい。
これからはますます「書く時代」になり、誰でも簡単に発信できる。そんな時代だからこそ、文章を書く技術は必須だと感じました。
文章を書くことが苦手な人にとっての必読書。ぜひ読んでみてください。
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